ヨハネの黙示録・全ての謎が分かる

The Seven Seals

◆◆◆ 8.「七つの封印」あとがき ◆◆◆
2004.07.31 窪田光治

 数年前、ふと『ヨハネの黙示録』を読んでみたいという衝動にかられ、何気なく読みはじめたのであるが、最初は何が書いてあるのかその内容がまったく理解できなかった。しかし読み進むうちに、非常に変わった文章だという印象を覚え、翻訳のせいだろうかとも考えたが、あまりにも不思議な文章なので「これは何かあるのでは」と考えるに至った。そして、これは象徴的なビジョンであり言葉の裏の意味があるにちがいない、という思いが脳裏をかすめた。一字一句注意深く読むうちに、心の底から沸き上がる強い衝撃に打たれて不思議な感動に満たされた。いくつかのキーワードの意味が解るにつれ、次から次へと理解されていったのである。

 大学は理工学部を卒業し、現在でも現役のエンジニアとして機械や電気関係の設計にたずさわり、また小企業ながら経営者でもある筆者は、多少の時間的ゆとりが持てるようになると、政治や経済の書物を手当りしだいにかじる一方、精神世界に興味を持つようになった。従来の宗教の枠にとらわれず心の向くまま読むうちに、これまでの小さな世界観・人生観が突如として大転換をしたのである。何よりも大きな変化は、神の臨在を感じるようになったことである。そして、人間の目には見えない世界が確実に存在し、生命の本質は霊であり、姿かたちなきエネルギーであることを強く信じるようになった。とはいっても、特定の宗教団体とまったく関係のない、一人の「精神科学の探究者」であることを申し上げておきたい。

 ヨハネの黙示録の解説文を書きはじめた頃、全体を整合性のあるものとして説明しようとすればするほど、さらに多くの疑問が次から次へと湧き出てきた。暗示とカモフラージュとの戦いの連続であった。この「あとがき」を書く段階に至るまで、神はなぜこれほどまでに「カモフラージュ」をなされたのか、という疑問をずっと抱き続けていた。 


 過去二千年間の人類の歴史を振り返ってみると、それは宗教の争いの歴史であり、戦争の歴史でもあった。キリスト教は政治に深くかかわり、同じキリスト教どうしの争いがあったり、様々な権力者に利用されてきたこともあるようである。この黙示録をここまで読み進めてこられた読者諸兄は、従来の聖書の概念とまったく異なることに驚かれたと思う。ヨハネの黙示録が誰にも容易に理解されるような言葉で綴られていたとしたら、現代という時代まで果たして「無傷」で伝えられて来たであろうか。最初に編纂されたギリシャ語から英語へ、英語から日本語へ、多少の誤訳があったとしても、訳者は誠意を込めて訳されてきたはずである。同じように世界中の言葉に翻訳されながら今日まで無傷で遺されたわけは、内容があまりにも難解であり、多くの人がそれほど重要なものとして考えてこなかったからである。もし内容がよく理解されたとすれば、それまでのキリスト教と非常に異なる部分が数多くあるために、大幅に削除されるか、黙示録そのものが存在していなかった可能性が高い。神はそのような状況を深く配慮されて、「神の大いなる日」の直前まで解読できないようにされたのである。

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 新約聖書の中に、これまでのキリスト教の教えとまったく内容の異なるこのような預言書があることは、現在、日本のどこかで説かれているはずである新しい「救世主の教え」と、イエスキリストとの連続性を証明することになるであろう。二千年前のイエスの時代背景と伝道の期間が短かったことを考えると、おそらくイエスキリストは十分な教えを残し得なかったであろうし、また、たとえ時間があったとしても、果たして当時の人びとにどこまで理解させることができたか大いに疑問である。

 モーゼやイエスキリストを地上に派遣したその同じ「全能の神」が、今またこの地上世界に救世主を派遣しているのである。イエスキリストの十字架の悲劇を再び繰り返さないためにも、この黙示録の存在の重要な意味がある。そして、キリスト教や仏教も、今また説かれているであろう「新しい神理」も、イスラム教や他の多くの伝統的な宗教も、すべてが「地球を統治されている同じ神」より発せられているものであるという認識がされなくてはならない。

 この黙示録は単なる「恐怖の預言書」ではなく、輝く人類の未来の建設を神が計画されていることを証明するものである。巨大地震や大地の海没、そして地軸の移動のような天変地異や、人類の人口が激減するような食料危機と多くの戦乱が預言通りになっていくのかどうかは、全人類の「集合体としての心の波動」の状態にかかっているといえる。全人類が愛と調和の心(神と同通する心の波動)となった時、もはや「神の大鉄槌」が必要なくなるからである。つまり、「人類の努力の余地」が残されており、それによってはこの預言もはずれることがあることになる。災害が軽度のものに終わるのか、または本当にこのようになっていくのか、それは地上の一人ひとりの「目覚め」にかかっているのである。

 神は、唯物論をこの地上から消し去り、精神性を基調とする新しい文明の建設をされようとしているが、さらに「遠大な計画」を持っておられるのである。輪廻転生(りんねてんしょう)の目的を理解された方はよく分かると思うが、人類(魂)が地上に生きながらにして進化するということは、天上界にいる霊となった人類をも進化させることになり、全地球の高次元実相世界全体の魂が進化・発展していくのであって、やがてそれは全宇宙の生命体にとっても非常に喜ばしいものとなるはずである。そして今回の「人類存亡の危機」と「救世主の誕生」は、現代という時代を「新しい文明の創世紀」として位置づけるものである。そのような数万年に一度の貴重な時代に私たちは生を受けており、その「体験者であり証人」になろうとしているのである。

 最後になったが、本書執筆中、様々な角度から内容の詳細な検討と助言を頂いた奥村悠氏、当初はあまりにもページ数が多かったため一冊の本として仕上げる制約上大幅に内容を削除したが、全体の構成を考えながら非常に適切な御指導を頂いた太陽出版の籠宮良治氏と片田雅子氏、さらに励ましと様々なアドバイスを頂いた多くの皆様方に、ここで紙面を借りて厚くお礼を申し上げたい。

               西暦 一九九七年 三月 吉日

                        



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