ヨハネの黙示録・全ての謎が分かる

The Seven Seals

◆◆◆ 「死後の世界」 書評 ◆◆◆
2007.11.05 窪田光治
潮文社 出版  J・S・M・ワード著 浅野和三郎 訳 復刻版

1.まえがき

 今から約30年前、私が半年後に31なる年の正月のことです。家族を連れて実家に帰っておりました。父が「おい、これを読んでおけ」と一冊の本を机の上に置いていきました。「死語の真相」という本で日本神霊科学協会出版のものでした。表紙をめくると石原慎太郎氏の推薦の言葉と共に、父の贈呈の言葉がありました。

 当時、私は人生の分岐点におりました。と言いますのは、この本を読んだ半年後に、自分の全てをかけて会社を創立したからです。大学を出てからずっと、将来何かやりたい、自分の全力が尽くせるような職場で働きたい、と強く念い続けておりました。この本を読んだ頃、私はまだ決心がつかず迷いの闇の中にありました。父はそれを察していたのでしょう。

 今思えば父は私の思い詰めた暗い心情を察し、心配してくれたのでしょう。この時、父が精神世界に深くのめり込んでいたことをはじめて知りました。弟は当時、大学の電子工学科を中退し神学校に行っていたように思いますが、私はそれまで神理の世界に無縁であり、宗教にも全く関心がありませんでした。「死語の真相」というタイトルを見たとき、余りいい感じはしませんでしたが、とにかく父がくれたものでしたから読み通しました。ピンとこないながらも、「なにやら死後の世界というのはあるらしい、死というものはそんなに怖くはないのだ。」という感想を持った記憶があります。

 その後、この本のことは脳裏から消え去ったように思いますが、潜在意識化において、会社創立という一大決心をするための大きな推進力になったのではないか、とこの文章を書きながら改めて考えています。その後、十五年間、この本は私のささやかな書庫に眠り続けておりました。そして、今から16年前のことですが、ある一冊の本に触れて神理の世界に突然目覚め、大きな感動に包まれました。「死語の真相」という本は、私にとって非常に思い出の深い本であったのです。その後、この本を人に勧めたくて探したのですが、すでに絶版になっていました。

 ある時、潮文社から「死語の世界」という本が出版されていることを知り、取り寄せて読んだところ、訳者・編者は異なるのですが、ほとんど同じ内容である事を確認し、宝物を掘り当てたようなうれしさに包まれたことを覚えています。18年ほど前に復刻されたのです。小桜姫物語」は収録されておりませんが、別冊になって同じ潮文社から出版されています。併せてお読みになられると良いと思います。

2.書評

 これは、今から百四十年ほど前に「J・S・M・ワード」という方が霊界通信を受け、それを編集して出版した霊界物語です。霊界、幽界、地獄界について、あの世の生活と体験を綴ったものであり、「死語の真相」の中で私が最も興味深く読んだのは、第十章・霊界の学校、第十一章・霊界における個人教育(小桜姫の修行)、第十二章・現界から地獄へ、第十三章・地獄からの脱出などです。

 第十二章・現界から地獄へ、第十三章・地獄からの脱出の章は「死語の世界」の目次によると、「下編 陸軍士官の地獄めぐり」というタイトルが付けられています。悪霊に憑依されていた不良士官が飲んだくれて交通事故に遭い、憑依霊と共に地獄に堕ちます。この憑依霊から様々なことを教わり悪逆の限りを続けた結果、次第に地獄の深い部分へと落ちていきます。

 そしてとうとう地獄の最深部・無間地獄に落ちてしまいますが、実はここからが大変興味深い話が続くのです。最深部の地獄というものがどのようなものか、そしてどうやってそこからはい出ることができたのか、その時の下士官の心境とその変化が大変に参考になります。

 そして、次第に心境が上がってゆく過程と喜び、そして悪の心が消えていくときの身を焦がす苦しみ、次元の上昇と共に目がつぶれるような眩しさと戦うときの不安、下士官を救い出す天使達がつかず離れず遠くから導く(眩しくて近寄ると本人が苦しむ)様子、そしてその旅の途中で天使が彼にいろいろな地獄を見学をさせてゆく様子など、実体験の告白という形で詳しく書かれており、目に浮かぶほどリアルです。

3.あとがき

 この本の記述は、今まで学んだ神理・法と照らし合わせても、何の矛盾もないほどほぼ完全な通信であると私は思います。その時、表面意識にはありませんでしたが、私は人生における最初の分岐点において、より困難な道を選択するという覚悟ができたのだと思います。

 当時、私は技術者でしたがそれ以外のことは全く何も知らず、そして専門分野の経験も少なく、すでに結婚し子供が一人おりました。「そうだ、今ならば寄せては返す海辺の波のごとく、今この波に乗れば必ず沖まで行ける。必ず成功する。」という念いが繰り返し繰り返し心の底からわき上がり、「そうだ失敗したときは、土方でもして家族を養えばいい、もう見栄も外聞もない」、私は自分の全てをなげうつ覚悟を決めました。そしてうち寄せた波に飛び乗り、海図なき未知の航海へとこぎ出したのです。

 というわけですので、これは私の人生において最も大事な本の一つであり、是非お薦めしたいと思います。



御自由にリンクを貼っていただいて結構です
LinkIcon
http://www.the-seven-seals.jp/

The free background
photographs are acquired from
http://www.h3.dion.ne.jp/~xosada/index.html